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国際ポリオ・プラス活動ニュース

2510地区ポリオプラス委員会

 

【野生株によるポリオ症例数】

ポリオ 2020年1月1日
~3月25日
2019 2018 2017 2016
常在国 パキスタン 34(△22) 144 12 8 20
アフガニスタン 2(△2) 29 21 14 13
ナイジェリア 0 0 0 0 4
世界合計   36(△24) 165 33 22 37

【ポリオ撲滅情報】


本年3月25日までに、パキスタン22症例、アフガニスタン2症例の新規の報告があり、今年に入って全世界で野生型ポリオ発症例は36名となりました。ナイジェリアでは新規の症例の発生がありません。

【ポリオ担当チームが新型コロナウイルスへの対応を支援】
ポリオ根絶プログラムではこれまで、ポリオウイルスの特定やワクチン配布キャンペーンを通じて大規模なインフラを築いてきました。各国のポリオ根絶担当チームは、このインフラを新型コロナウイルス(COVID-19)への対応に活用することで、感染リスクにさらされやすい人、特にポリオ常在国の人びとを新型コロナウイルスから守るべく支援に乗り出しています。パキスタンやナイジェリアといった国では、何十年ものポリオ根絶活動の経験が、政府による新型ウイルス対策の支援に役立てられています。
 
1)パキスタン
パキスタンのポリオ根絶プログラムは、ウイルス感染経路の特定や地域社会への働きかけにおいてほかのどの保健プログラムよりも豊富な経験を有しています。パキスタン政府による新型コロナウイルスへの対応と対策にあたり、ポリオ根絶チームは力強い支援を提供できる立場にあります。
 
同国では現在、ポリオ根絶チームが特にサーベイランス(監視)と認識向上に力を入れて援助にあたっています。政府と密に協力しながら、チームは新型ウイルスの監視にあたる280人の保健当局者を3週間で研修したほか、ポリオのデータ管理システムと統合させた新たなデータシステムの開発を支援しました。研修を受けた人がほかの人を研修する、という仕組みにより、6260人以上もの保健従事者が研修を受け、通常のポリオ監視に加えて新型コロナウイルスの監視も行っています。この取り組みは、新型ウイルスの感染が続く限り行われます。
 
政府とWHO緊急チームの補足戦力となるポリオ根絶チームは、新型コロナウイルスの感染経路の特定や6カ所の研究所における検査の改善にも協力し、感染者数の急増や旅行者の経路特定に備えて研修を受けています。イスラマバードにあるポリオ地域研究所でも、高まる需要に応えて新型コロナウイルス検査の技術的サポートが行われています。
 
これまでにない新型の感染症であるため、ポリオ担当スタッフらは、健康リスクに関する正確な情報を広く伝えるとともに、懸念する人びとの声に耳を傾けています。パキスタン政府が以前に設置したポリオの全国ヘルプラインは、現在、新型コロナウイルスに関する情報発信にも活用されています。最初の感染者が報告された後、ポリオチームはこのヘルプラインの活用をすぐに開始。SNSなどポリオ予防接種の周知に使われていた手段は、現在、新型コロナウイルスに関する正しい情報の拡散に使われています。また、テレビCMも放映されています。今後もチームがさらに多くの人を研修し、ウイルス拡散抑止のメッセージを広げていきます。
 
2)アフガニスタン
現在、ポリオ根絶プログラムで急性弛緩性まひ(AFP)の報告を行っている地域ボランティアたちは、ポリオだけでなく、新型コロナウイルスの感染防止のために手洗いの推進も行っています。同様に、UNICEF(国連児童基金)もそのネットワークを通じて手洗いや衛生に関する情報を拡散しています。
 
現地のスタッフは、AFPの子どもを確認するために定期的に保健施設を訪問する際、新型コロナウイルスの感染の疑いがある人を確認し、報告しています。また、ポリオプログラムのスタッフが研修を行い、新型コロナウイルスに関する保健従事者の対応力を高めています。
アフガニスタンのWHOポリオチームは現在、同国政府が主導する幅広い新型コロナウイルス対策との連携を図るための拠点を設けています。また、地域レベルのポリオチームが、公共保健大臣や非政府団体、その他のパートナー団体と密に協力しながら、新型コロナウイルス対策を強化しています。
 
3)ナイジェリア
「現場で政府をサポートするようWHOが一番最初に連絡したのはポリオ担当チームだった」と話すのは、ナイジェリアのWHOポリオチーム責任者、フィオナ・ブラカさんです。
新型コロナウイルスの感染例が2件報告されているオグン州とラゴス州では、WHOのポリオプログラムの医療スタッフ50人以上が、長年にわたるポリオウイルスとの闘いで学んだ知識を生かし、感染抑止に全力で取り組んでいます。これらのスタッフは、統合されたサーベイランス、接触の追跡、データ収集と分析にあたっています。米国疾病対策センター(CDC)が支援する「Stop Transmission of Polio(ポリオ感染抑止)プログラム」に携わる公共保健専門家らは、そのスキルを新型コロナウイルスの調査に役立てています。
 
通常はポリオ根絶活動の調整を行っているWHOの現地事務局は、新型コロナウイルス対策の拠点としてもその機能を拡大させています。また、新型ウイルス対応のために電話や車両、運営サポートも提供しています。
新型コロナウイルスの感染者が報告されていない州では、ポリオ担当スタッフが備えを支援しているほか、ポリオ根絶活動のインフラがウイルス監視の強化に役立てられています。ポリオ担当スタッフらは政府関係者と密に協力し、新型コロナウイルス対応のプロトコルについての研修を支援し、ウイルスに関する住民への情報提供を行っています。また、感染の危険にある現場の保健従事者を研修する特別な取り組みも行われています。
 
4)ポリオ常在国以外
世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)の一環であるStop Transmission of Polio(ポリオ感染抑止)プログラムで研修を受けた人たちが、世界13カ国で新型コロナウイルスの対策と対応を積極的に支援しています。普段はポリオ発生への対応にあたっているWHOのアフリカ地域事務局の緊急対応チームも、アンゴラ、カメルーン、中央アフリカ共和国といった国での対策を援助しています。このほかの事務局のポリオ担当スタッフも、新型ウイルスの抑止と対応にあたるスタッフをサポートする準備を進めています。
 
ポリオ根絶活動において、私たちは伝染病がもたらす悲惨な影響を目にしてきました。この経験を踏まえ、新型コロナウイルスの軽減と拡大抑止のために、これまで培ってきた知識とリソースを投入して各国の保健システムを全力で支援するとともに、引き続き連携してポリオ根絶活動を続けていきます。
 
【ポリオ根絶の支援のため、世界のロータリーリーダーが パキスタンを訪問】
国際ロータリーの代表団がパキスタンを訪れ、イムラン・カーン首相、ザファル・ミルザ保健相、カマル・ジャベド・バジュワ陸軍参謀長、パキスタン・ポリオ全国緊急運営センター長のラナ・サフダル博士をはじめとする政府リーダーと会合しました。
 
ロータリー代表団には、2020‐21年度国際ロータリー会長ホルガー・クナーク氏、2020‐21年度ロータリー財団管理委員長 K. R. ラビンドラン氏、ロータリーのインターナショナル・ポリオプラス委員長マイケル K. マクガバン氏が参加。また、パキスタンにおけるロータリーのポリオ根絶活動を先導する次期ロータリー財団管理委員アジズ・メモン氏も同行しました。
パキスタン政府リーダーは、ポリオ根絶におけるロータリーの重要な役割と、パキスタン、およびポリオの脅威にさらされているほかの国へのロータリーによる資金援助を高く評価しました。ポリオ根絶活動において、ロータリー会員はこれまで21億ドル以上を寄付し、莫大な時間をボランティア活動に捧げてきました。
 
ロータリーは、世界的なポリオ根絶活動を他に先駆けて開始した団体として認められています。1988年にロータリーが世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)を結成した際、世界ではポリオの症例が毎年35万件発生していました。今日、ロータリー、パートナー組織、各国政府からの支援により、ポリオの発症数は99.9パーセント以上減少しています。
 
今回の会合でカーン首相は、パキスタン国内におけるポリオ根絶の新たな課題を認識した上で、パキスタンがポリオ根絶を最優先として掲げることを確認しました。同国政府はすでに、ポリオ予防接種の管理において効果的な一連の措置を組織的に導入しているほか、同国でポリオが再流行しないよう、必要なリソースを投入しています。バジュワ陸軍参謀長は、国内のすべての子どもにポリオワクチンが行き届くよう、陸軍と市民部隊の両方がロータリーの代表団を全面的に支援し、協力していくことを約束しました。
 
ザファル・ミルザ保健相は、ポリオ根絶活動の強化を確認した上で、前回の全国ポリオ予防接種活動で約4000万人の子どもが予防接種を受けたことに言及しました。
ホルガー・クナーク氏は、本訪問の結果への満足感を示すと共に、ポリオ根絶におけるパキスタン政府の尽力を称えて次のように述べました。「パキスタンのリーダーと会談し、ポリオという疾病を永遠になくすためにパキスタンが行っている新たな活動について知ることができ大変嬉しく思います。政府と陸軍からの支援があれば、パキスタンはこの使命を完遂させるに違いないと確信しています」
K. R. ラビンドラン氏もこれに同意し、次のように加えました。「ポリオ根絶は、社会全体からの支援を必要とする大規模な活動であり、ポリオによってこれ以上子どもが身体まひに苦しむことがないようにするという私たちの究極の目標です」
 
パキスタンへの訪問中、ロータリー代表団はパキスタンのロータリーリーダーとも面会しました。パキスタンには、230以上のロータリークラブがあり、約3400人のロータリー会員が活動しています。また、GPEIのメジャードナー(大口寄付者)とも会談し、全国緊急運営センターも訪問しました。ここでは、ハイテクのデータ収集システムにより、リアルタイムで根絶活動の進展をモニタリングしています。
野生型ポリオウイルスの発生が引き続き報告されている国はアフガニスタンとパキスタンのみですが、不安定な情勢、紛争、脆弱な保健システムといった問題点により、世界的なポリオ根絶の最終局面が最も困難であることが実証されています。これらの障害に立ち向かい、根絶活動を引き続き強化していくには、寄付者や各国政府からの資金援助とサポートが不可欠です。
 
【2020-21年度ロータリー財団地域コーディネーター(RRFC)からのお知らせ】
「昨年度の実績を踏まえて話し合った結果、次年度の日本の目標を次の通りといたします。」
 
ポリオプラス基金
・1人当たり30ドル(日本全体約270万ドル)
 
引き続きポリオ根絶活動をご支援ください。ロータリーへのご寄付には、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から2倍額が上乗せされます

カテゴリー: ポリオプラス委員会