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国際ポリオ・プラス活動ニュース

2510地区ポリオプラス委員会

 

【野生株によるポリオ症例数】前月比パキスタン+10、アフガニスタン+3

ポリオ 2019年1月1日
~11月20日
(△前月比)
2018年 2017年 2016年
常在国 パキスタン 101(△15) 12 8 20
アフガニスタン 24(△3) 21 14 13
ナイジェリア 0 0 0 4
世界合計 125(△18) 33 22 37

【ポリオ撲滅情報】


残念ながら、今月もパキスタン、アフガニスタンでは症例数の増加がありました。しかし、ナイジェリアはこの3年間、新規の症例の発生がない状態が続いています。

【『リーチング・ラストマイル・フォーラム・イン・アブダビ』で世界のリーダーたちが一堂に会す】
2019年11月19日にアブダビで開催された『リーチング・ラストマイル(RLM)・フォーラム・イン・アブダビ』で世界のリーダーたちが一堂に会し、世界ポリオ根絶推進活動の『ポリオ根絶・エンドゲーム戦略計画2019-2023』に必要な資金調達の第一段階として26億米ドル(約2823億円)を拠出し、ポリオ根絶に取り組んでいくことを確認しました。
 
今回の誓約ベントは、3種類ある野生型ポリオウイルス株のうち2種類が世界から根絶され、現在蔓延している野生ポリオウイルスが1型(WPV1)のみになったという先月の重大発表を受けて開催されたものです。さらに、野生型ポリオウイルスによる症例を抱えるアフリカ最後の国・ナイジェリアでも、2016年以降、野生ポリオウイルスの発生が確認されていないため、WHOアフリカ地域全域が2020年にもポリオのない地域として認定される可能性が出てきました。医療従事者や各国政府、ドナー、パートナーの献身的な貢献により、野生型ポリオウイルスが蔓延している国は現在パキスタンとアフガニスタンの2カ国のみとなっています。
 
世界保健機関局長であり、ポリオ監視委員会委員長も務めるテドロス・アダノム・ゲブレイェスス博士は次のように述べています。
「世界最大規模の医療従事者のサポートから、すべてのこどもたちに対するワクチン投与まで、世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)はポリオのない世界の実現を推し進めているだけでなく、他のさまざまな医療ニーズに対応する上で不可欠な保健インフラも構築しています。本日発表された寛大なご寄付について大変嬉しく思っており、また私たちを支援している各国政府やドナー、パートナーにも感謝しております。とりわけ、今回のGPEIの誓約イベントを主催し、またポリオ根絶においても長期にわたり支援されているアブダビ皇太子のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下に感謝の意を申し上げます」
 
本日発表された誓約により、ポリオ根絶の取り組みは大きな局面を迎えることになります。一方で、一貫性のないキャンペーン内容や、不安定な状況、紛争、膨大な人口の移動、そして中にはワクチン投与を拒否する保護者がいるなど、このような問題がすべてのこどもたちをポリオから守る際の妨げとなっており、またパキスタンとアフガニスタンにおいて野生型ポリオウイルスの蔓延が今なお続いている現状の原因でもあります。さらに、すべてのこどもたちにワクチン投与が行き届いていないアフリカやアジアの一部でポリオウイルスに対する免疫が低くなっており、その結果、希少種のポリオウイルスも発生しています。このような問題を克服し、毎年4億5000万人のこどもたちをポリオから守るため、今回、各国政府やドナーが、ポリオ根絶・エンドゲーム戦略計画に対して32億7000万ドル(約3500億円)という多額の財政拠出を新規に行うと発表しました。
 
誓約は次の多様なドナーから提供されます。
今回の誓約イベントを主催したアブダビ皇太子のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下(1億6000万ドル/約174億円)。
 
各国政府は次の通り。米国(2億1592万ドル/約233億円)、パキスタン・イスラム共和国(1億6000万ドル/約174億円)、ドイツ(1億505万ドル/約114億円)、ナイジェリア連邦共和国(8400万ドル/約91億円)、ノルウェー(1083万ドル/約12億円)、オーストラリア(1029万ドル/約11億円)、日本(740万ドル/約8億円)、ルクセンブルグ(222万ドル/約2.4億円)、ニュージーランド(135万ドル/約1.5億円)、スペイン(11万6000ドル/約1300万円)、リヒテンシュタイン(10万ドル/約1000万円)。

GPEIのパートナーは次の通り。ビル&メリンダ・ゲイツ財団(10億8000万ドル/約1172億円)、国際ロータリー(1億5000万ドル/約160億円)。慈善団体は次の通り。ブルームバーグ財団(5000万ドル/約54億円)、ダリオ財団(2500万ドル/約27億円)、タヒル財団(1500万ドル/約16億円)、国連基金(640万ドル/約6.9億円)、アルワリード財団(200万ドル/約2.1億円)、チャリーナ恒久基金(100万ドル/約1.8億円)、寧夏燕宝慈善基金(100万ドル/約1.8億円)。民間セクターは次の通り:アハメド・アル・アブドゥラ・グループ(100万ドル/約1.8億円)、アル・アンサリ・エクスチェンジ(100万ドル/約1.8億円)、カスタ・テクノロジーズ(34万ドル/約3700万円)。
また今月上旬には、英国が最大5億1480万ドル(約560億円)をGPEIに拠出すると発表しています。
 
アラブ首長国連邦(UAE)の閣僚であり国際協力担当国務大臣を務めるリーム・アル・ハーシミー氏は次のように述べています。
「今回はアブダビでGPEIの誓約イベントを主催でき光栄に思っており、ポリオ根絶に向けたたゆまぬ貢献をされている参加者の皆さまにも感謝いたします。2014年の設立以来、エミレーツ・ポリオ根絶キャンペーンではこれまでにパキスタンの最僻地の一部において4億3000万本以上のポリオワクチンを提供してきました。私たちは子どもたちを最後の一人までポリオから守るという使命を固く守り、力を合わせることでポリオを過去のものとして歴史のページに刻むことができると信じています。」
 
すべての子どもたちをポリオから守る際に妨げとなっている問題の克服に加え、この資金を活用することで、GPEIが構築したリソースやインフラが現在の、そして将来のあらゆる保健ニーズも支えていくことになります。ポリオ根絶に携わるスタッフはビタミンAサプリメントの提供、麻疹や黄熱病といった疾病のためのワクチン配布、授乳に関する新生児の母親へのアドバイス、そして疾病発生の予測・対応に関する疾病監視体制の強化といった業務に従事しています。また男女平等の推進や女性の地位向上に資する取り組みの一環として、GPEIはプログラムのすべての段階で女性が平等に参画できる環境を整えています。
 
ポリオが世界から根絶されるという未来は、個人から地域社会、地方自治体や政府からドナーまで、プログラムのすべての段階における皆さまの支援と関与に委ねられています。子どもたちにワクチンを投与するという戦略が申し分なく実施され、十分な財政支援を受けることができれば、すべてのこどもたちがポリオを心配せずに暮らせる世界を必ず実現することができるはずです。
  
【ナイジェリアでポリオ「ゼロ」を保つ】
ナイジェリア・ポリオプラス委員長ツンジ・フンショ氏による以下のポリオ最新情報をご覧ください。

 
どれほど多くの活動が、2019年世界ポリオデーに実施されたでしょう!10月24日の世界ポリオデーに合わせて無数の活動が行われました。10月24日という日は、初めてポリオワクチンを開発したジョナス・ソーク博士の誕生日が近いという理由で選ばれたもので、私たちは皆、この日の重要性を知っています。注射用のポリオワクチンであるソークワクチンは彼の名前に由来しています。世界中のロータリアンは、アドボカシー、認識向上、ファンドレイジング、現地活動という4つのテーマに沿って各地で盛大に、想像力豊かな方法で多くのプログラムを企画・実行しました。また世界ポリオデーでは、ナイジェリアで野生型ポリオの無発症期間が8月21日で3年を経過したことが祝われました。これまで多くの課題に直面してきたポリオ根絶活動における大きな前進です。
 
この祝賀の一環として、ナイジェリアのロータリアンは同国のポリオ活動家を表彰しました。これは最前線で子どもたちに経口ポリオワクチンを投与している人たちを称えるもので、トロフィー、楯、表彰状といった形で感謝が伝えられました。世界ポリオ根絶推進活動(GPEI)の全パートナー団体の代表者や、国の多くの要人もこの表彰に出席しました。また、何千人もの人が参加したポリオ根絶活動支援の行進も行われました。この行進には、ナイジェリア政府やGPEIパートナー団体(WHO、UNICEF、米国疾病対策センター、ビル&メリンダ・ゲイツ財団)の代表者のほか、国内のパートナー団体であるSir Emeka Offor財団代表者であるエメカ・オフォー氏も参加。大手テレビ局で報道され、アドボカシー、啓発、意欲向上のためのメッセージやコンテンツがソーシャルメディアで発信されました。
 
ナイジェリア全体で、世界ポリオデーにちなんだ776もの活動がロータリアンによって実施され、endpolio.orgに登録されました。この数はブラジルに次いで2番目の多さ(米国と同数)です。 このナイジェリアでの祝賀はラゴスでフィナーレを迎えました。ロータリーのポリオ根絶大使(Ali Baba、Kate Henshaw、Sani Danja、Akiin Shuga、Phyno、Timaya)による喜劇、音楽、ダンスのパフォーマンスが披露された華やかな晩となり、ポリオプラス基金への募金も行われました。
 
祝賀を終えた今、私たちが焦点を置くべきは、世界全体でのポリオフリーが認定されるまでナイジェリアでの野生型ポリオウイルスによる症例数をゼロのまま維持することです。
今回の前進で満足するわけにはいきません。予防接種プログラムへの反感に対する対応と資金を募るためのアドボカシーにさらに注力するとともに、定期予防接種とサーベイランスの強化を継続していきます。

【今年も日本発: 世界ポリオデー2019】
10月24日の世界ポリオデーには、世界中で昨年を大きく上回る5,600件以上のイベントが実施されました。国別では、ポリオ予防接種に対する一般の関心が高いブラジルで最も多い1,257件、続いて米国の805件、ナイジェリアの779件となっています。日本からも108件のイベントの情報が寄せられ、全国で赤い「END POLIO NOW」のシャツを着た大勢のロータリー会員がポリオ根絶の募金や認識向上に奮闘しました。今年、日本で行われたポリオ根絶活動をいくつかピックアップしてご紹介します。

(1)第2770地区(埼玉東部)
ポリオサバイバーである小林操ガバナーのポリオ根絶に対する強い思いを受け、地区内の全74クラブが世界ポリオデーにイベントを実施しました。駅前での募金活動、街頭コンサート、ポリオサバイバーによる講演、ビル壁面スーパービジョン、プロジェクションマッピングなど、多岐にわたるイベントでポリオに対する認識を大きく高めただけでなく、世界ポリオデーの募金総額は地区全体で約350万円となりました。10月24日当日は、小林ガバナーが応援のためいくつかのイベント会場にかけつけ、地元メディアからのインタビューにも対応。地区が一体となってポリオ根絶に取り組んだ充実した一日となりました。「ロータリーはポリオ根絶まで、決して諦めない」と小林ガバナーは述べています。

(2)神戸南ロータリークラブ(兵庫)
8月25日、神戸ハーバーランド内スペースシアター特設ステージにて、ポリオ撲滅を目的としたエンドポリオへの認識向上と青少年の文化促進をマッチングさせたイベント「END POLIO ダンスフェス」が開催されました。当日はおよそ1500人が来場。出場したダンスパフォーマーは約600人、ボランティアスタッフは約30人、ロータリアンは20人と、大勢の参加によるビッグイベントとなりました。ステージ出演者や関係者は「あと少し」を合い言葉にビデオメッセージ(以下の動画参照)に協力し、編集後 SNS 等に公開しました。このイベントを通じて、健康で活発に自己表現ができる喜びを若者たちに感じてもらうと共に、世界にはまだポリオに脅かされている子どもがいることへの関心を促すことができました。

(3)第2510地区(北海道西部)
10月21日(月)、「ポリオ根絶チャリティー寄席」が札幌市豊平区にある慧林寺で開催されました。桂 枝光師匠の落語3席(酒の粕、天狗さし、雁風呂)と吉本興業の札幌事務所から「すずらん」のお二人の漫才が間に披露され、落語と漫才に大きな笑い声が本堂に響き渡りました。地区ポリオプラス委員長が来場者に向けてポリオ根絶に関する説明をしたほか、入口で地区ポリオプラス委員会が受付を担当し、募金箱に53,000円ほどの寄付が集まりました。

(4)碧南ロータリークラブ(愛知)
10月24日世界ポリオデーに午後7時から配信される「ポリオ根絶特別プログラム」配信動画鑑賞会を飲食店にて開催。店内設置のモニターで来店客と一緒に鑑賞し、ロータリークラブ公共イメージ向上のためのPRとポリオ根絶のための募金活動を行いました。

(5)境港ロータリークラブ(鳥取)
11月4日(月祝)に地元観光地「水木しげるロード」でクラブ会員によるポリオ根絶のための街頭募金活動を実施。連休で観光客や地元商店街の方々から、多くの関心と協力が寄せられました。年明けの1月13日(月祝)にも同様の活動を計画しており、次回は配布資料や掲示ポスターも増やし、さらにわかりやすく充実した活動にする予定です。
 


 
8月21日、ナイジェリアで野生型ポリオウイルスの症例が最後に報告されてから3年が経過し、来年にはアフリカ全土のポリオフリーが認定される可能性が出てきました。また、今年の世界ポリオデーには、野生型ポリオウイルス3型が根絶されたことをWHOが発表。2型は2015年に根絶されたため、残るは1型ウイルスのみとなります。ポリオに脅かされる子どもが一人もいない世界が実現するまで、粘り強く活動を続けていくことが重要です。
 
声を張り上げて募金活動にご参加くださった皆さま、工夫を凝らして認識向上に努めてくださった皆さま、またEndpolio.orgからイベント情報をお寄せくださった皆さまに、この場をお借りして心より感謝申し上げます。ありがとうございました!